Into A New World -また出会う私たちの新しい場所-


はじめまして。SISTER編集部のScarletです。

今までインタビュー記事を書いていたのでこれが初めてのわたしの話をする投稿になりそうです。 今使っているScarletという名前はアメリカ留学中にわたしの日本人的な名前を新しく会う人会う人なかなか覚えてもらえなくて困っていたら友達が私っぽいと言ってつけてくれたイングリッシュネームで、スカーレット=赤を表すというのもところもなんとなく好きだし、それ以来気に入って使っています。基本的には映画制作の勉強をしていて、留学中は演劇と映画制作を勉強していました。去年大学を卒業して、勉強を続けてこれから映像を作りたいと思っています。

私がルーキーのインターンに参加した理由ですが、わたしは「ブログの時代からルーキーがずっと好きで」とか、特に前からルーキーの読者であったわけでもなくて、ダヴィちゃんのことを知ったのも他のみんなと比べたらすごく最近のことで、彼女に関しても「すごくお洒落なティーンネイジャーの子がアナ・ウィンターとファッションショーのフロントローに座ってるらしい!」とか、それぐらいの知識でした。

のちに彼女がフェミニストであることを公言していることを知って、そこで彼女が編集長を務めているルーキーを初めて手に取ったのでした。 正直わたしは多くの人に愛されているかわいいルーキーのビジュアルなどは普段あまり関わりのあるものでないことには間違いないし、内容がガールズパワー的なものでなかったら手に取っていなかったジャンルのものだと思っています。 けれど一度読んでみると、女の子たちがいきいきと自分の好きなものを好きだと言っていたり、理不尽なことに怒っていたり、またお互いを励ましあったりしている、自分がティーンネイジャーの頃に出会っていたら親友と呼べる存在になっていたであろうとてもすてきな存在だと思いました。 そして大学生最後の年にルーキーのインターンに参加しようと決断したことはとっても素晴らしい出来事でした。

インターンの応募をするとき緊張でとてもドキドキしながら応募メールを送ったのを今でも覚えています。 そしてたくさんの素敵な大人の人たちの計らいのおかげで、あっと言う間に他のインターン生の女の子たちと幸運にも繋がることができて、こうして私たちのウェブマガジンを始めることができました。たくさんの人に感謝しています。

そしてわたしがこのウェブマガジンでやっていきたいことでこれといって決めてることがたくさんあるわけではないのですが、ひとつだけ思っているのは欧米のものや白人至上主義的なものだけじゃなく、日本以外のアジアのことも積極的に書いたり、扱っていきたいということです。 日本の多くのメディアでは「海外セレブ」という言葉は白人の人たちに対してばかり使われていたり、「外国っぽさ」がテーマの日本の雑誌に登場する多くは白人のモデルや、白人との「ハーフ」の人たちばかりだったり、そこでは比較的肌が白くて目が大きく鼻も高い、白人に近い見た目であることが美しく、理想であるということが示されていて、その美の基準に合った人たちだけが載っていることがほとんどのように感じます。 そしてわたしはルーキーが他の媒体と一線を画していると思うのはモデルとしてさまざまな人種、またさまざまな体型の女の子たちが登場するところでした。 

そしてルーキーはアメリカのティーンネイジャーによるものだし、SISTERを見てくれている人達はもしかしたら主にアメリカのカルチャーに興味がある人が多いんじゃないかなと思います。わたしもずっとアメリカのカルチャーへの憧れがすごく強かったし、それは今でもあります。

でも知ってる人もいるかもしれないけどわたしはアメリカのカルチャーだけじゃなく韓国のカルチャーも特に好きで、欧米のものだけじゃなくお隣の国をはじめとしたアジアのことももっと知りたいと思っています。

こう思ったきっかけはたくさんありますが、一番大きな理由はアメリカに留学してひどい人種差別を経験したり、わたしがアメリカのものを見るのと同じ目線でここの人たちはアジアのものを見てくれないんだな、と思うことがたくさんあったからです。 でもそれが別にすっごく悪いことだとは思っていません。ただアメリカ滞在中はここの人たちにとっては日本なんてアジアのどこかにある小国でしかなく、オリエンタルでどこかミステリアスな、おそらく一度も訪れるはずのないところ。そんな認識でしかないのだなといつも思っていました。もっと言えば彼らにとってはせいぜいスシの国ぐらいでしかなく、出身を聞かれて日本だと答えたらスシは好きだよ!とか、日本についてはそれぐらいしか知らない、と言われたことが何度もありました。 だからいくらメディアが「世界中(欧米)が日本のクールなカルチャーに夢中!」って特集を組もうとも、たとえ本当に欧米に日本のカルチャーに興味がある人たちがいたとしても、そんなのマイナー中のマイナーな、本当に小さな小さなコミュニティの中でだけの話です。少し残念な話ですが、大多数のアメリカの人たちにとって日本はそういう小さな小さな存在でしかありません。 

そして公民権運動から50年以上経つのに未だ解決していないアフリカ系アメリカ人をはじめとしたアメリカの人種差別に関する議論も巡っても、アジア系の人たちのことは差別の実態、歴史があるにも関わらずなかなか表立った議論にさえも上がっていないことがほとんどです。

そしてわたしは留学中そんな社会の中でアジア人が暮らしていくのは簡単なことではないと実感しました。わたしは英語を母語としない「アジア人」ですが、やはりアジア系「アメリカ人」の友人たちからもアメリカは自国なのに自分たちがこの場所で生きていく上で困難はたくさんある、という話をよく聞きました。 

そして非アジア圏に滞在したことのある人は経験がある人も多いと思いますが、いつしか私の親しい友達は韓国、中国、台湾、香港出身、、といった感じで文化や風習、好む食べ物も似ているアジア人同士で仲良くするようになりました。 

その時わたしの周りにはアメリカ人で日本のことをよく知っていたり、興味がある人はあまりいませんでした。でも逆に日本に来たことがあったり、いつも「日本ってすごく良いところだよね!」とか「日本語の勉強をしてるよ!」と言ってくれていたのは中国や韓国の人たちでした。わたしはそのたび日本のメディアがその国々に対してマイナスなイメージを植え付けようとするかのような報道していることを思い出して、そういう人たちをがっかりさせたり、また彼らが嫌な思いをするようなことは絶対起こってほしくないと思いました。 

先に書いた通りわたしは映画学科にいたけれど、たとえば小津映画を見たことがある、または彼の名前を知っている若い学生なんてアジア人くらいしかいませんでした。(教員は別ですが。) 逆に彼らは本当に日本の映画に詳しくて、自分のアジア映画に対する知識の乏しさをほんとうに申し訳なく思ったのを覚えています。わたしはアメリカに行く前に欧米の映画はたくさん見たけれど、彼らの多くはこっちのことなど見向きもしていなかったのになとも思いました。

でもわたしにとって欧米の映画を観ることは有益なことだと思うし、もちろん悪いことだとは思っていません。それによって大好きなアメリカの映画やカルチャーが嫌いになるわけでもありません。

ただ同時にこちらに関心を持ってくれている人たちといない人たち、それをハッキリと自分に突き付けられただけで、自分にとって大切だったのはこちらを見てくれている人たちもいるということを知れたことだと思っています。たまたま運良く学ぶ機会があったということです。

そしてわたしは日本に帰ってきましたが、メディアの影響もあってか、日本以外のアジア近隣諸国やそこにルーツを持つ人たちに対して無意識にでも蔑視的な発言をする人に出会ってしまう機会が度々あり、そのたびにとても憤りを感じ、悲しくなります。

そして欧米のものや人には言わないのに特に韓国や中国の人たち対してネガティブなことを言う人がたくさんいます。
例えばたくさんの中国の人たちが日本の製品を買いに来ることを迷惑がるように、当たり前のようにネガティヴに表す 「爆買い」なんて言葉が使われますが、この対象がもし例えば欧米出身の白人だったらこんな扱いがされるのでしょうか。「世界(欧米)に認められた日本の製品!」ともっとプラスに報道されるのではないでしょうか。 そしてたとえば韓国や中国には「なんとなく」悪いイメージを持っていて、逆に台湾には「なんとなく」良いイメージを持っている人たちは結構いるのではないかと思います。わたしはその「なんとなく」ってすごく危険なものだと思っています。だってそれはたいてい深く学習したものや自分の体験からくるものではないことがほとんどだからです。

そしてわたしがここで他のアジアのことを積極的に扱っていきたいと思っているのは、もちろん日本以外のアジアのすばらしいものをもっと知りたい、紹介したい、教えてほしい、というたくさんの理由がありますが、もうひとつはそういう他のアジア近隣諸国を蔑視して自らのプライドを保とうとするようなムードに若い女の子たちまで流されてほしくないと思うからです。逆に言えば日本だけそういうムードになっている間にどんどん世界から、時代から取り残されていくのだと思います。自戒の念も込めてですが、他のアジア近隣諸国は日本より劣る、なんておごった考えは絶対にもつべきではないと思うのです。

またアジア圏に根深く残るセクシズムの問題も私たちとは切っても切り離せない問題です。でもそれはもちろん場所や環境によって少しづつ、もしくは大きな違いがあると思います。わたしもいろいろ学んでいる途中で、勉強不足ですが、少しずつでももっと勉強して、将来的にほかのアジアのフェミニストたち(a.k.aまだ見ぬシスターたち)と対話をしてみるのが夢です。
最後に、ですがこの場所がどんなルーツを持っていても、みんながせめてここでだけは嫌な思いをせず楽しめたり、一緒に考えられたり、自分の思うことを自由に発信できたり、そんな場所になれることを祈っています。私たちは姉妹なのだから。

Tsukasa
Sister Magazine編集長。文筆やインタビュアー、ときどき翻訳をして活動中。
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Twitter: @tsscarlett