Zipperモデルなどを務められたのち、『Aymmy in the batty girls』(以下『Aymmy』)という自身のブランドを立ち上げられた瀬戸あゆみさん。現在モデル、デザイナーとして精力的に活躍されています。今回はSister Magazine編集部Tsukasaが瀬戸さんにインタビューをさせていただきました。
──『Aymmy』というブランドを立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。
私がまだ高校生だったころ、原宿の『ナディア』というセレクトショップでデザインやバイイングをして働いていました。そのとき「おしゃP」という文化がすごく流行っていて。当時、私は今在籍している事務所の社長さんと知り合いで、彼がデザインをして自分のブランドを持たないか、と声をかけてくれたんです。今までそういうことにすごく興味はあったんですが、自分でやりたいと声に出して言ったことはなくて。なのでその提案をされたとき、少し考えてみると「自分のやりたかったことはこれなんだな」と思ったので引き受けることにしました。そうしてブランドを始めることが決まってから現在の事務所に入って、1年の構想期間がありました。なので今の事務所に入ったのも一応はブランドを始めるためですね。
──社長から「自分のブランド始めたらどう?」って勧めてもらえるような環境って素敵ですね。
そうですね。自分に自信がなくて自分からあれがやりたい、これがやりたいと言えるタイプではなかったので、将来についてすごく迷っていた時期だったんですが、その時に声をかけていただいて、道標を示してもらったようなところがありました。
──『Aymmy』の「異性には媚びない目線で、アメリカンカルチャーを感じさせるストリート+エッジィなデザインを展開。少し風変わりで個性的で、奇抜(batty)なスタイルを楽しむ女の子たちを表現」というコンセプトがすごくクールですね。Aymmyのお洋服で、「I don’t dress up for boys」と書いてあるジャケットがすごく素敵でした。どうしてそういったコンセプトにしようと思われたんですか?
ありがとうございます。『Aymmy』の服には「I don’t dress up for boys」と書いてあるタグがついているんです。色々と試行錯誤がありました。最初は「誰にも媚びない」みたいなコンセプトだったんですが、私は今25歳で、周りからも「年相応の大人っぽい格好をしたほうがいいよ」と言われることがよくあって。 それに、年齢を重ねるにつれて周りの尖ったファッションをしていた子たちがコンサバティブに変わっていくのを見ていて、なんでなんだろう、と考えたときにやっぱり男の子に媚びなきゃいけない空気があるというか、「モテ」を意識せざるを得ないような風潮があることに気がついて、それが嫌だと思ったので途中でコンセプトをより明確にしたものに変えました。「I don’t dress up for boys」という言葉をネイティブの友達に提案されて、ぴんときてこのコンセプトでやっていこうと決めました。
──「もう◯◯歳なんだから…」という理由で好きなファッションができなくなる風潮が嫌だという気持ち、すごく共感します。『Aymmy』の世界観ってどんなイメージですか?
コンセプトはAymmyちゃんという女の子がいて、彼女は3人いる女の子の中のメインキャラクターなんですが、Aymmyちゃんはカリフォルニア、ロサンゼルスに住むティーンネイジャーなんです。コンセプトはAymmyちゃんにまつわる友情関係など色々なこと、たとえば去年の春はAymmyちゃんが放課後働いているバイト先が『Soda Fountain』という場所で、昔ながらのダイナーがテーマでした。Aymmyちゃんがバンドを組んだシーズンや、スケートショップで働き出したシーズンなど、全てがストーリー仕立てになっています。今年の夏はAymmyちゃんにボーイフレンドができたという設定で、男の子のキャラクターが1人増えました。だからいつもより少しレトロでロマンチックなハートのモチーフが多かったり、恋に関連したメッセージが多かったりしています。
──コンセプトやテーマがはっきりしていて、映画のようにファッションの中にストーリーがあって素敵ですね。
ありがとうございます。例えば今季はAymmyちゃんに初めてボーイフレンドができたというコンセプトで、「You’re my rainbow」という言葉がテーマになっています。このストーリーは実は春から繋がっています。春にAymmyちゃんが働いていた『Soda Fountain』には、ソーダジャークというソーダを作る男の子がいるんですが、Aymmyちゃんはその子に恋をしていて、今季では彼が本当にAymmyちゃんのボーイフレンドになったという設定です。妄想の中の物語のような、楽しい世界でやらせていただいています。
──楽しいですね!どんなものからインスピレーションを得られることが多いですか?
映画が多いですね。『ゴーストワールド』のシーズンテーマがあったりもしました。今年の秋のテーマが「スプーキー・スクワッド」といって、ホラー映画がテーマというか、映画のキーフレーズがテーマになっています。『アダムスファミリー』とか『ストレンジャー・シングス』とか、SFホラーのような、少しレトロなものです。基本的には80年代のアメリカのカルチャーがすごく好きで、いつも古着っぽさというか、昔のアメリカっぽい雰囲気はあると思います。
──80年代の映画がお好きなんですね。
80年代、『Aymmy』とコラボしたものだと『E.T.』や『ギズモ』の時代ですね。あと個人的にはジョン・ヒューズの『プリティ・イン・ピンク』がすごく好きです。そこからも世界観的にすごくヒントを得ていると思います。アメリカのハイスクールものがすごく好きなんです。だからコンセプトもティーンネイジャーの設定にこだわっていたりします。
──最近、瀬戸さんがインスタでスポーツは大嫌いでダイエットはしてないと書かれているのを見たんですが、はっきり書かれていて素敵だと思いました。
昔は今より太っていて、一度痩せて、それから太る原因みたいなものがわかったというか、それだけ気をつけてれば行き過ぎたりとかはしなくなったかなというのはあります。
──自分にとっての適量みたいなものってありますよね。
私本当に半身浴しかしてないんですよ。食べたいときに食べるし。ハンバーガーも食べるし、深夜にでも食べたかったら食べます。半身浴で汗をかいてリセットするくらいですね。本当はスポーツもしたほうがいいんですけど。健康にもいいし。
──私は個人的にスリム体質な方が私は元からこれです、って発信されることってすごく大事だと思っていて。昔私が読んでいた雑誌にはどう見てもスリムな体質のモデルの人を使って、「みんなも努力すればこうなれる!」みたいなことばかり書かれていたんです。私はそれを真に受けて必死にダイエットして摂食障害になってしまったので。最近だと水原希子さんが「私はもともと瘦せ型だ」と発信されていて話題になっていましたよね。それを見て現実的な話をしてもらえるのってすごくいいなと思ったんです。まず痩せていることだけが美しいってすごく偏狭な価値観ですよね。なので瀬戸さんの運動が大嫌いという言葉には勇気付けられます。
たしかにそうですね。スリムじゃなくても可愛い子なんてたくさんいますよね。私にはmikkiという友達がいるんですが、その子は本当に可愛くて、アメリカの女の子みたいな体格なんです!いつも堂々としててすごく素敵で。『PUNK CAKE』という古着屋さんで働いているんですが、普段から「今からプロムパーティにでも行くの?」みたいな派手な服を着ていて、普段着が毎日パーティなんです。アメリカ人みたいにスタイルがパーンとしていて、すごくかっこよくて私のファッションアイコンです。
──タトゥーを入れようと思われたきっかけを教えてください。
ずっと前から入れたくて、20歳の時に入れました。でもすごく何かが大きなことがあってとか、深い意味があっていうわけではないです。その時なんとなく自分の人生を考えたときに20歳になってタトゥーを入れても、ファションの仕事もするとは思うんですけど、タトゥーの存在が差し障るような仕事はしないなと思ったので入れました。 「タトゥーを入れたいんですけど…」みたいな質問が結構来るんですが、仕事に差し障る可能性がある場合はまず自分の人生を考えてタトゥーを入れるのは気をつけたほうがいいとは思います。
──どんなふうに入れられていったんですか?
最初にスーパーマンのタトゥーを入れました。私はアメリカンテイストなものとかアメコミとかすごく好きなんです。それって一生変わらないなと思ったのと、大人になって例え少し服のテイストとかが変わったとしても、昔好きだったことをなかったことにしたくないと思っていて。あと「この人昔はもっと尖っていたんだろうな」みたいなのを感じる瞬間がすごく好きなんですよ。
──たしかにタトゥーが入ってるおばあさんとか、なんかかっこいいですよね。
ホールが大きいピアスをしてるお母さんとか。昔はやんちゃなファッションだったんだろうな、って感じるのが好きで。
──わかります。でも海外と違って日本ではまだまだタトゥーに対する偏見が強いですよね。
日本でプールに入れないとかそういう心配は少しあったんですが、じゃあもう日本で入らなきゃいいやと思って。日本で好奇な目で見られるくらいなら海外に行けばいいと思うとすごくハードルが下がりました。
──最近インターネットでタトゥーが入っていてもぜひ来てくださいと発信している施設も見かけるので、これからどんどん変わっていくかもしれませんよね。そういえば、インスタグラムでよく色々な場所に行かれているのを見ます。どのくらいの頻度で旅行されるんですか?
最近はちょっと旅行に行き過ぎていて(笑) 最近は月に1回くらい行っているんですが、普段はそこまででもないです。2、3ヶ月に1回とかですね。
──海外はお仕事で行かれることが多いですか?
プライベートの時もあるし、仕事の時もあるし、という感じですね。この間仕事でイタリアに行ったんですが、プライベートで行くほうが多いですね。特に今年は旅行に行く年にしようって決めていて。
──素敵ですね!
そうですね。今年は順調に旅行に行けています!
──今まで行かれた中で好きな街や場所はありますか?
やっぱりLAは一番行き慣れていて落ち着きます。友達もいるし、英語が通じるし、Uberでどこでも行けたりとか、クレジットカードでなんでも払えたりして便利で。あとLAでサンセットを見るのがすごい好きです。LAは毎日サンセットが見られるんですよね。なので、LAは一番快適というか好きな場所で、自分の原点です。 最近行った中だと一番印象に残ってるのはモロッコです。初めてイスラム教の分化に触れました。街中とかお店の中でも時間が来るとみんなひとりでもその場でお祈りを始めるんです。神聖な空気に触れたような気がして感動しました。あとすごく人が優しかったです。モロッコはすごく暑い国なんですが、暑い中で熱いミントティーを飲むんですよ。それが思いのほか美味しかったです。
──おすすめの場所やお店などを教えてください。
東京だったらやっぱり原宿ラフォーレの4階『BATTY GARAGE BY AYMMYS』(笑)あとは『PUNK CAKE』という原宿の古着屋さん。近くに『ホホカム』というハンバーガー屋さんがあるんですが、昔コラボ企画をさせてもらったことがあって、バナナスプリットとかあまり日本ではないものを作ったりとか、赤と青と黄色のクリームソーダ作ったりとか、いろいろやらせてもらっています。あとすごく洒落た感じのお店ではないんですけど、私がよく行っているのが『モンマスティー』という北参道、千駄ヶ谷の方にあるスタンドのミルクティー屋さん。ミルクティーがすごくおいしいです。朝の7時から夜12時まで毎日営業していて安定感があります。私はそこに犬の散歩をしながら行って、朝だとマフィンがプラス20円でついてくるのでティーとマフィンを買って、お店の目の前の神社でお参りをしたあとそこで食べるというのが自分のルーティーンになっていますね。
──夜遅くまでやっているミルクティーのお店いいですね!夜になるとカフェって閉まっちゃって、開いているのが居酒屋ばかりになるんですよね。
そうなんですよ。私はお酒があんまり飲めないのですごくよくて。私の友達は家に遊びに来たついでにもれなくそこに行っています。あとはカリフォルニア、パームスプリングスのエースホテルですね!LAから車で3時間くらい行ったところにあります。エースホテルっていろんなところにあるんですが、パームスプリングスが一番チルな感じで、砂漠の中にあって、サルベーションマウンテンが割と近いところです。ここにはたまに行ってずっとプールに入っているだけなんですけど、何もすることがないところが逆によくて。泳いでプールサイドで本を読んで、カクテルを飲んで、とか。
──お気に入りの映画や本、作品、デザイナーなど、あれば教えていただきたいです。
さっきも言っていたんですが映画はやっぱりジョン・ヒューズの『プリティ・イン・ピンク』が一番好きです。主人公に片思いしている男の子のキャラクターがすごく良くて。あと古着をリメイクして自分でおしゃれをするマインドがすごく好きです。尊敬しているデザイナーは特にいないんですが、私はずっとタヴィちゃん(タヴィ・ゲヴィンソン)が好きです。『Style Rookie』のブログの頃から見ていて、『ルーキーイヤーブック』は英語版、日本語版どっちも持ってます。このあいだイベントで初めてタヴィちゃんに会って話すことができたんですが、大汗をかいてしまいました。(笑)
──瀬戸さんの前にインタビューをさせていただいたのがタヴィちゃんだったんですが、彼女は今すごくビジネスパーソンになっているんですよね。
そうですよね。タヴィちゃんのことをすごく尊敬しているので、だから私もタヴィちゃんがしているようなことができたらいいなと思っています。あと私は山崎まどかさんのことをすごく尊敬していて、まだお会いしたことはないんですが、本をすごくよく読んでいます。
──山崎まどかさん、素晴らしいですよね。
『ヤング・アダルトU.S.A.』とか大好きです。最新刊の『読書は最高の復讐である』はこのあいだ買ったんですがまだ読めてなくて。読むのを楽しみにしています。
──モデルやデザイナー業以外に何かされていることはありますか?
今はやってないです。zineを作ったことはあって、これからもっとやっていきたいなと思っています。
瀬戸あゆみ
Aymmy in the batty girls デザイナー。
また、ファッション誌を中心にモデルとしても活躍中。
彼女のクリエイティビティ溢れるコーディネートセンスは注目され
2014年2月に自身がデザイナーを務めるアパレルブランド「A
2015年3月「Aymmy in the batty girls」がプロデュースするセレクトSHOPとして、「BA
ラフォーレ原宿にOPEN。瀬戸の持つ類稀なファッションセンス
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Tsukasa
Sister Magazine編集部。文筆やインタビュアー、ときどき翻訳をして活動中。
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