最高にクールなガールズグループ、f(x)


今日は私の好きな韓国のガールズグループ、f(x)を紹介したいと思います。

f(x)とは

韓国のSM ENTERTAIMENRT所属の女性4人組グループ。2009年にデビューし、メンバーの一人ソルリが2015年に脱退して以来、4人で活動している。メンバーは韓国系アメリカ人のクリスタル、台湾系アメリカ人のアンバー、韓国人ルナ、中国人のビクトリアで構成され多国籍グループと呼ばれる。 グループ名f(x)は数学の関数に由来し、 xの値により結果が変わる関数f(x)のように、メンバーの多様な才能と魅力により多彩な活動を広げるという意味が込められている。またfが花を意味する英語の「flower」を、xが女性染色体のXを表している。(Wikipediaより)


実験的なスタイルとエレクトロポップベースの音楽が特徴である。また国際的に知られているK-POPグループのひとつで、セカンドアルバムの『Pink Tape』はFuseのBest Albums of 2013に唯一K-POPアーティストの作品として選ばれた。

メンバー

クリスタル
1994年生まれの韓国系アメリカ人。韓国名はチョン・スジョン。f(x)ではセンターを担当することが多い。歌手だけでなくモデルや俳優としても活躍中。媚びないクールなスタイルが魅力。シンプルな服装を好み、イーディ・セジウィックやケイト・モスを敬愛している。元少女時代のアーティストで起業家のジェシカは実姉で、二人合わせてチョン姉妹と呼ばれる。姉妹の洗練されたスタイルは二人に密着した『Jessica & Krystal』というリアリティ番組が放送されるほど人気。


Instagram: @vousmevoyez 


ルナ
1993年生まれの韓国人。パワフルな歌声の持ち主でf(x)ではメインボーカルを担当している。ミュージカル俳優としても活躍中。とても真面目で練習生時代は練習の鬼と呼ばれていた。(K-POPのアーティストのほとんどは練習生として歌やダンス、演技、語学などのトレーニングを長期間受ける) また、スポーツが得意で韓国相撲や砲丸投げ選手として活躍していた経歴も持つ。母子家庭の貧困層が生理用品を買えないというニュースを見て女性団体に大量に生理用品を寄付するなど、社会問題への関心も高い。今年6月に『Free Somebody』でソロデビューを果たした。



  Instagram: @hermosavidaluna 

ビクトリア 
1987年生まれの中国人。中国で中国舞踊を学び、大会に出演しているところをスカウトされた。f(x)ではメインダンサーを務め、俳優としても活躍する。中国でも大人気で中国のドラマや映画に多数出演している。グループ最年長で面倒見の良い性格からメンバーに慕われている。

Instagram: @victoria02_02 

アンバー 
1992年生まれの台湾系アメリカ人。f(x)では主にラップを担当しているが、もともとはボーカルとして事務所にキャスティングされていたので歌唱力にも定評がある。自分のことを「トムボーイ」を称していて、ショートヘアでカジュアルな服装を好む。英語、中国語、韓国語の3ヶ国語を話し、自身で制作した曲はメッセージ性の強いものが多い。自作曲『Beautiful』や『Borders』は彼女が人と違うゆえ苦しんだ体験を元にしていて、その発信力と影響力には常に熱い視線が注がれている。映像を作ることにも意欲的で、ミュージックビデオは自身で監督すること多数。

Instagram: @ajol_llama 
Twitter: @llama_ajol 
Youtube Channel: What The Pineapple! 


f(x)は2009年に「ガールズグループ」としてデビューしましたが、奇抜なファッションや実験的なコンセプトは、当時巷に溢れていた「男ウケ」や「モテ」を意識したそれとは大きく異なりました。分かりやすく商業的で、安直な男性のみの目線を意識したものよりも、彼女達の作品には実験的に様々なテーマが落とし込まれ、それは時を経て個性となり、彼女達は現在唯一無二の存在となりました。デビュー当時、ビクトリア以外のメンバーは全員10代でしたが「現役の女子高生/中学生のガールズグループ!」といったふうに、セクシャルで、若さや幼さを売りにするような売り出し方はされませんでした。これはf(x)デビュー当時から彼女達のアートディレクションを行っているミン・ヒジンさんの功績も大きいことと思います。 

ミン・ヒジンさんのインタビュー 

特にアンバーはネット上で「あなたはいつ女性らしく振舞うの?と聞かれるけど私は女性だし、女性はなりたいものになれる」と度々ジェンダーロールについて積極的に発言していたり、フロリダのナイトクラブでLGBTQコミュニティに対するヘイトクライムが起こった際にも声明文を出していて、彼女のようなアーティストが「ガールズグループ」の一員として活動しているのも、とても意味があることだと思います。こういうこともあってかf(x)のファンのほとんどは女性だと聞きます。パフォーマンスを披露しているステージを見ていても聞こえてくる歓声は主に女性の声です。

こういったヘテロセクシャルな男性の目線を意識せず、自分たちのスタイルを実験的に見つけていくような方法でグループのディレクションをするのも女性、それを消化するのも女性、そしてそれを観客として享受するのも女性、という環境は実はあまり無いように思えます。それに彼女たちはスターでありながらもどこか身近なお姉さんのような魅力があります。K-POP市場の中でも稀有な存在だと思います。


最新シングル曲『All mine』企画・撮影・編集・監督はアンバー。  




『4 Walls』4人体制になりガラッと雰囲気を変えてのカムバック。(韓国の歌謡界では歌手が新曲を出すこと=歌手が歌謡界にカムバックすること、としてカムバックという言葉を使います) 


『4 Walls』ステージパフォーマンス 振り付けは日系アメリカ人のカイル・ハナガミ

私がメインストリーム市場を大切だと思うのは、良くも悪くも多くの人に影響を与える力が大きいからです。それが良いものだとたくさんの人がそれによって良い影響を受けることができるし、逆もしかりです。 逆にメインストリームにないものもとても魅力的ですが、その性質ゆえ一部の趣味の良い人たちにしか知られていなかったり、文化的に貧しいところにいるとアクセスしづらいものでもあると思います。 K-POPは入り口がすごくたくさんあって誰にでもオープンに扉が開いているし、たくさんの人が気軽にアクセスできるようなものが私は好きです。


Tsukasa
Sister Magazine編集部。文筆やインタビュアー、ときどき翻訳をして活動中。
Instagram @tsscarlet
Twitter: @tsscarlett